アパート・マンションにおいて外壁塗装と防水工事を一緒に行うメリット

アパート・マンションにおいて外壁塗装と防水工事を一緒に行うメリット

 アパートやマンションを長期にわたって安定的に運用するうえで、避けて通れないのが定期的な修繕。特に外壁塗装や防水工事は、美観の維持だけでなく、建物そのものを水害や劣化から守るために欠かせない重要なメンテナンスです。ところが、「そろそろ外壁塗装かな…」「屋上の防水が心配だな…」と考えながらも、それぞれを別々に行ってしまうと、費用も手間も二重にかかってしまうことがあります。実はこの2つの工事、同時に行うことで費用面でも、建物保全の面でも大きなメリットがあります。

1. 足場の共用でコスト削減

 防水工事も外壁塗装も、足場が必要になる高所作業です。これを別々に施工すると、その都度足場費用が発生し、二重コストになります。しかし、外壁塗装と防水工事を同時に実施すれば、足場は1回で済みます。

2. 屋根・バルコニー・外壁を一体で守れる「総合防水力」

 外壁塗装は「見た目の美観向上」と「表面の保護」が主な目的ですが、雨水の侵入を完全に防ぐものではありません。特に築10年以上の物件では、塗装だけでは水の侵入を防ぎきれない箇所が増えてきます。一方、防水工事は以下のような部分に水の侵入を防ぐための施工をします。

・屋上・ルーフバルコニー(ウレタン・シート・FRP防水)
・窓枠やサッシまわり(シーリング・コーキング)
・外壁のひび割れ部(補修+塗膜強化)
・ベランダ床(防滑性・排水勾配調整)

 これらを一緒に行えば、建物全体を「水に強い状態」に仕上げることが可能です。

3. 雨漏りリスクを根本から断つ

 塗装だけをして見た目がきれいになっても、屋上やバルコニーの防水層が劣化していれば雨漏りは起こります。

<よくあるケース>

・「外壁塗装をしたのに、天井から雨が漏れてきた」
・「入居者から”カビ臭い”とクレームが入った」
・「クロスが浮いてきた」 → 実はバルコニーからの浸水が原因

 こうしたトラブルの予防策として、防水工事は外壁塗装とセットで考えるのが理想的です。

4. 建物の寿命を延ばし、大規模修繕のサイクルを伸ばせる

 水の侵入は、鉄筋コンクリート(RC)でも木造でも、構造体の腐食や劣化を加速させます。結果として、修繕サイクルが安定し、資産価値も長く維持できます。

<防水+塗装で守れる主な箇所>

・コンクリート内部の鉄筋腐食(中性化防止)
・木部の腐朽・シロアリ被害の予防
・モルタル・ALCの浮きや剥離防止
・漏水による室内クロス・床の劣化防止

5. 工期・入居者対応の効率アップ

 別々に工事を行うと、入居者に次のような負担を2度に渡ってかけることになります。

・足場の設置による視線・音・圧迫感
・バルコニーが使えない期間の発生
・駐車場や共用部の一時制限

 同時施工であれば、1回の工事で済むため、クレームも出にくく、空室リスクを下げる効果もあるでしょう。

6. 修繕履歴が一貫しやすく、業者との連携もスムーズ

 外壁塗装と防水工事を同じタイミングで行えば、施工管理も一元化できるため次のメリットがあります。

・工程の管理がスムーズ
・材料や色の統一感が出る
・メンテナンス履歴が整理しやすい

まとめ

 アパート・マンションの外壁塗装と防水工事を同時に行うことで、コスト削減、建物の総合的な保護、入居者への配慮、管理の効率化など、多角的なメリットが得られます。特に管理会社や専門業者による定期点検を活用すると、最適なタイミングで効率的な修繕計画を立てることが可能になります。