RC造とは、「Reinforced Concrete」レインフォースド・コンクリート
=補強されたコンクリートのことで、鉄筋コンクリート造のことをさします。
RC造とはどのような建築物か
RC造(鉄筋コンクリート造)は、圧縮に強いコンクリート+引っ張りに強い鉄筋の両方の長所を併せ持った強い構造となります。減価償却期間47年と建築物として最も長く、施工・メンテが良いと60年以上の寿命を実現できます。
RC造(鉄筋コンクリート造)の建築物の一例
RC造の雨漏りの主な原因
RCは配筋した型枠にコンクリートを流しますが、ミキサー車の渋滞や段取りミスなどにより最初に打ったコンクリートと次のコンクリートの間に隙間や変質したラインができてしまうことがあります。その部分を「コールドジョイント」と言い、雨水が染み込みやすく劣化が急速に進行します。
また、流し込んだコンクリートが隅々まで浸透せず、砂利が浮き出てしまっている状態を「ジャンカ」と言い、構造の不安と共に、やはり雨水の浸透が進み建物の劣化の原因となります。
コンクリートの打ち放しによる失敗の一例

ジャンカ
コンクリート流すときの
バイブレーター(注1)不足
複雑な設計の場合など発生

(注1)コンクリートに振動を与えて、気泡を逃したりセメントと骨材(砂や砂利)などの素材を密接にしたりする作業。

コールドジョイント
現場監督の差配ミスや二次打込みの
タイムロス、雨・雪・型枠のおが屑など 

コンクリートの劣化によるもの
コンクリートは当初「アルカリ性」の素材ですが、空気中の炭酸ガスを吸収し年に0.5mm中性化していきます。表層の防水を怠るとさらに中性化が促進され、雨水の浸透されやすいボロボロの状態になっていきます。コンクリート内の鉄筋は空気と水によって腐食が進行し、構造に深刻な影響を与えます。
RC造(鉄筋コンクリート造)の断面図

例)かぶり厚が3cmの場合
施工直後 コンクリートはアルカリ性

時間が経つにつれ・・・ 1年毎に空気中の炭酸ガスを吸収し、0.5mmずつ中性化が進行していく
築60年経過 60年でコンクリートの中性化が鉄筋に到達
錆が生じた鉄筋が膨張
コンクリートを徐々に押し出し亀裂が!
RC爆裂のプロセス
コンクリートの劣化は深刻な雨漏りの原因となります。
一番の対策は、表層防水によりコンクリート自体を風雨から守ることになります。
雨水の浸透により鉄筋にもっこりとサビが発生して、膨張し、コンクリートを押し上げます。
さらに進行すると爆裂につながります。
雨漏りの原因は、爆裂前の細かいヒビが拡張してそこを雨水は伝ってくるケースが圧倒的に多いのです。
水の性質により思いもかけない箇所から漏水の可能性も
毛細管(注2)現象により、下部からの浸水が、上部に染み出すことがあります。 水漏れが発生して、上部ばかり気にかけていると本質的な発見が遅れる場合があります。
一番の対策は、表層防水によりコンクリート自体を風雨から守ることになります。
(注2)毛管現象ともいう。液体中に細い管(毛管または毛細管という)を入れると、液の種類によって、管内の液面が外部の自由表面により上または下に移動する現象。
構造物の劣化により予期せぬ箇所が雨漏りする場合も
雨漏りの原因は、
真上の上層階からとは限らない
構造物の劣化の状況により、亀裂から浸透した水が、パイプスペース(注3)やパイプそのものを伝い下層階に被害を及ぼすケースが多発しています。
例えば、下層階の押し入れ天井の雨漏りで、天井を剥がしても原因がわからないなど、何か所も解体し、原因がわからず、そのまま洗面器のような水受けで対処したままという案件も多々見受けられます。
このような場合、湿気による室内造作の腐食や建物躯体の損傷を進行させ、更なる被害に発展します。
(注3)各階を縦方向に貫通して設備用の各種配管(上下水道やガス管などの配管)を集中的に納めたスペース。パイプシャフトともいう。
雨漏りの原因究明は、固定概念を捨てて、あらゆる可能性を模索することから始まります。
もちろん、多数の現場を見て来た専門家なら経験値を基にいくつかの可能性を導き出します。
RC造における雨漏り対策の代表的な工法
屋上防水
ウレタン防水
安価で、どんな形状の場所でも使用できるなどのメリットが多いことから、多く採用されている。
液体状のウレタン樹脂(注4)を複数回塗ることで防水層を形成し、防水の機能を果たす。
取り扱い業者も多いが、簡易に施工できることから、専門知識のない業者が欠陥工事で仕上げ、雨漏りするケースも多数ある。

(注4)ウレタン結合を有する重合体の総称で、通常イソシアネート基水産基を有する化合物の縮合により生成される合成樹脂のことをいう。ウレタンゴムもしくはポリウレタン樹脂と呼ばれることもある。
アスファルト防水
古紙や不織布などにアスファルトを浸透・被覆させて加工したロール状のシートを貼り重ねて形成する工法。
熱工法(注5)トーチ工法(注6)常温工法(冷工法)(注7)などに分類される。
新築工事で多用され、露出仕上げや押えコンクリートで仕上げることが可能。低温下ではもろく、下地の動きに弱いため、挙動がある下地には不向きで、臭いの苦情に配慮が必要。

(注5)溶融釜で溶かした防水工事用のアスファルトで貼り重ねて施工する工法、煙・匂いの問題がある。
(注6)溶融釜を使用しないので熱工法より煙臭いが少ない工法
(注7)自着工法とも呼ばれる、ルーフィングシートに自着層(剥離紙をはぐことで下地に密着させるもの)を持たせる工法、煙・臭いの問題がほとんど無い。
シート防水
紫外線や熱に耐久性があり、大きく分けて、塩ビシート、ゴムシートの素材が主流となっている。近年は同等価格で耐久性が高く、環境にも優しいポリエチレンシートも台頭してきている。
工事の難易度が高く、信頼できる施工ができる業者が少ない。 塩ビシート、ゴムシートは可塑剤(注8)を含むためアスファルト・ウレタン系に比べると、ポリエチレン系は2倍の耐用年数がある。

(注8)熱可塑性合成樹脂に加えて柔軟性や対候性改良する添加薬品類の総称、これが水や紫外線の影響で表面に収縮やジョイントの剥離が起こりやすくなる。
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鉄骨造とはどのような建築物か
構造上主要な骨組み部分に鋼材を用いた構造のことです。建物がRC造と比較して軽量であり粘り強さがあるため高層建築物や橋梁などに用いられます。
軽量鉄骨造とは、厚さ6ミリ未満の鋼材で構成された建築物をいい重量鉄骨造とは、厚さ6ミリ以上を鋼材で形成された建築物をいいます
鉄骨造の建築物の一例
鉄骨造の雨漏りの主な原因
雨漏りの原因として最も多いのが、
構造体より外壁材のおさまりの部分
鉄骨造の雨漏りの原因として最も多いのが、構造体より、外壁材のおさまりの部分です。
パネル同士の接合部分(目地)に隙間ができやすく、コーキング材(注9)などで風雨を防いでいるのですが、鉄骨は上層階に行くほど揺れます。即ち、常に建物が動いている状態なのです。
侵入した水や結露が鉄骨をサビさせ、更に骨材の劣化、躯体のゆがみにつながります。

(注9)構造物の継ぎ目・すきまに注入して、水漏れ・空気漏れを防ぐ粘着性の充填(じゅうてん)剤。

コーキング材の素材性能は年々上がってはおりますが、それでも、およそ10年程度で硬化してしまいます。
硬化したコーキング材は収縮し、建物の揺れに対応できないため、その隙間から雨水が浸入してきます。
また、外壁のパネル材(主にALC版)の劣化によるヒビなどから雨水が浸入するケースもあります。
錆の進行による鉄部の劣化によるもの
風雨や漏水、内部結露により、下地材に錆が生じ、劣化に繋がります。そして、つい見逃してしまうと躯体の寿命に大きく影響することになります。 鉄骨は腐食が進行すると手遅れになります。 先手をうったメンテナンスが必要となります。
劣化によるひび割れや、パイプなどを伝った雨漏りによる錆被害の一例
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木造とはどのような建築物か
構造上主要な部分に木材を用いた構造のことです。主な工法には「軸組構法(在来工法とも言われます)」「ツーバイフォー工法」「木質ラーメン構法」「丸太組構法」などがあります。
「構法」は柱や梁また貫などの木軸材の構成方法で、「工法」は工事などにおける造り方、組み立て方です。
「伝統構法」は主要な構造部材の構成方法が重要なポイントとなり、「在来工法」は主要な構造部材の組み立て方が重要なポイントとなります。
似ているようで建物を建てる根本的な思想がまるで違います。
構造上主要な部分に木材を用いた構造のことです。主な工法には「軸組構法(在来工法とも言われます)」「ツーバイフォー工法」「木質ラーメン構法」「丸太組構法」などがあります。
「構法」は柱や梁また貫などの木軸材の構成方法で、「工法」は工事などにおける造り方、組み立て方です。
「伝統構法」は主要な構造部材の構成方法が重要なポイントとなり、「在来工法」は主要な構造部材の組み立て方が重要なポイントとなります。
似ているようで建物を建てる根本的な思想がまるで違います。
在来工法
柱、梁。筋交い(柱と梁の間に斜めに入れる材料)など、木製の「軸」を組み立てて建物を支える構法です。
間取りの自由度が高く増改築が容易なことも特徴です。手掛ける会社は大手ハウスメーカーから工務店まで様々な会社が幅広く取り入れています。
在来工法の木造建築
枠組壁工法(2×4工法)
枠組壁工法の通称。使用される木材のうち主要な部材の断面が2インチ×4インチであることからツーバイフォーと呼ばれます。
国土交通省の告示では「木材で組まれた枠組みに構造用合板その他これに類するものをうちつけた床及び壁により建築物を建築する工法」と定義されています。
従来の日本の木造工法とは異なり、部材の接合はほとんどが釘打ちによって行うほか耐風、耐震を考慮して多くの接合金物を用います。
手掛ける会社は大手ハウスメーカーが多いようです。
枠組壁工法に用いられる柱
在来工法、2×4工法、共に、雨仕舞い(注10)の点では、「施工力」の良し悪しにつきます。施工会社選びが重要です。

(注10)建築物内部に雨水が侵入しないようにする仕組みを施す総称。

各工法の耐震について
耐震における軸組工法と2×4工法の違い
また、耐震面では、2×4工法の方が変形圧力に強く、建物の変形が少ない分、建物に隙間ができにくいため、耐震性能は優れていると言えます。協会にも雨漏りの報告は少ない傾向にあります。
木造の建築物の一例
木造の雨漏りの主な原因
劣化・腐食・たわみ・経年変化によるもの
建物内外の経年変化・自然損耗は、雨・太陽光・風・建物の動きで進行します。早めの防水メンテナンスで寿命は格段に長くなります。
雨水は降雨量や風向きによって建築物の至るところに吹き込みます。
雨水処理材料の選択不良・経年劣化による雨仕舞いが考慮されていなければ、内部に雨水が入り込み、雨漏りの要因になります。
劣化・経年変化によるひび割れから入った雨漏りの腐食被害の一例
木造の主な雨漏り箇所
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コーキングの劣化による雨漏り
サッシ廻りのコーキング不良が雨漏りの原因に
コーキング忘れや、粗い施工などにより吹き付けた風雨が原因で雨漏りする場合があります。
構造別の法的な耐用年数と建替え時期の目安
管理状態が良好であるか否かで寿命が大きく違ってきます。建物の寿命が延びることは経済的にも大きなメリットとなります。
RC・SRC造【ラーメン構造】
耐用年数:47年
建替え時期の目安
管理状態良好:築45年~60年
管理良くない:築30年~40年
RC・SRC造【壁式構造】
耐用年数:47年
建替え時期の目安
管理状態良好:築45年~60年
管理良くない:築30年~40年
鉄骨造【軽量鉄骨・軸組工法】
耐用年数:27年
建替え時期の目安
管理状態良好:築40年~50年
管理良くない:築30年~40年
鉄骨造【重量鉄骨造】
耐用年数:34年
建替え時期の目安
管理状態良好:築40年~50年
管理良くない:築30年~40年
木造【在来工法(軸組工法)】
耐用年数:22年
建替え時期の目安
管理状態良好:築30年~40年
管理良くない:築25年~30年
木造【枠組壁工法(2×4工法)】
耐用年数:22年
建替え時期の目安
管理状態良好:築35年~50年
管理良くない:築30年~40年
構造体 構造・工法 耐用年数
(住宅)
建替え時期の目安
管理状態良好 管理良くない
RC・
SRC
ラーメン構造 47年 築45年~60年 築30年~40年
壁式構造 築45年~60年 築30年~40年
鉄骨 軽量鉄骨・
軸組み工法
27年 築40年~50年 築30年~40年
重量鉄骨造 34年 築40年~50年 築30年~40年
木造 在来工法
(軸組工法)
22年 築30年~40年 築25年~30年
枠組壁工法 築35年~50年 築30年~40年
先手をうったメンテナンスが健全な建物の維持管理につながります。
老後に老朽化の進行した建物を抱えるかどうか、次世代の引き継ぐ不動産に対するモチベーションなども考慮して、防水に高い意識をもって頂けますよう、防水協会は啓蒙活動を引き続き行ってまいります。
大規模な防水工事をするまえに考えること
健全なメンテナンスにより寿命が延びたとしても、建替えか大規模なリノベーションが必要な時期が必ず到来します。
さて、いま建替えた方が良いか、リノベーションで再生してもうひと頑張りしてもらった方が良いのか、判断用のチェックリストを作成しました。
老朽物件の建替えVS大規模修繕・・・判断のポイント
建替え 大規模修繕
容積率(今より大きく建つか?) 余裕あり 余裕ない
立地・ロケーション 将来性あり 横ばいである
水漏れ、雨漏りがある 慢性的に発生 まだ悩みはない
耐震(地震対策) 根本解決ができない 経済的な補強手段がある
老朽化進行具合 著しい 手は打てる
リフォームの工事費用 多額の費用掛かる 効率的な費用配分ができる
老後と次世代対策 次世代対策が大事 老後のことを考えたい
賃貸経営の場合
現状の入居者 不良入居者が多い 良い入居者が多い
現状の賃料(単価) 新築の方が単価が伸びる しっかりいただいている
新築した場合の表面利回り 10%前後でまわりそう 新築しても大してまわらない
相続・所得税 大きい節税効果を望む 節税効果は重要ではない