<夏の雨漏り・浸水対策>マンション・アパートの防水施策で資産価値を守る
夏といえば、猛暑にゲリラ豪雨、そして台風。とくに昨今の異常気象の影響で、短時間に大量の雨が降る「線状降水帯」や「集中豪雨」が増加傾向にあります。このような天候に備え、マンション・アパートにおいては防水対策の強化が欠かせません。雨漏りや漏水被害は、建物の劣化を進めるだけでなく、入居者からのクレームや修繕費の増大といった管理コストの増加にもつながります。だからこそ、「何も起きていない今こそ」が、防水対策に取り組むベストなタイミングです。
1.防水の要「屋上」と「バルコニー」は要チェック
建物の中でも、最も雨水の影響を受けやすいのが屋上やルーフバルコニーです。長年放置された屋上の防水層は、紫外線や風雨にさらされて劣化し、ひび割れや膨れ、剥がれが発生します。この劣化が進むと、やがて内部に雨水が浸入し、居室への漏水に発展する恐れがあります。また、バルコニーの排水溝やドレン(排水口)にゴミや落ち葉が詰まっていると、排水がスムーズに行えず、水があふれて建物内部へ浸水するリスクも。とくに1階や半地下の部屋では注意が必要です。
2.外壁とシーリングの点検
建物の外壁やサッシまわりに使われている「シーリング材(コーキング)」も、防水の要です。年数が経過したシーリング材は、固くなってひび割れや剥離が起こりやすくなります。こうした隙間から雨水が入り込めば、壁内部の鉄筋や断熱材を劣化させ、最悪の場合はカビや腐食の原因にもなりかねません。見た目はきれいでも、10年以上メンテナンスしていない場合は、専門業者による外壁調査やシーリング打ち替えの検討が必要です。
3.雨どい・排水管の詰まりも確認
意外と見落とされがちなのが、雨どいや排水管の状態です。雨どいが落ち葉や砂で詰まっていたり、接合部がずれていたりすると、水があふれて外壁に打ちつけられ、壁の劣化や汚れの原因になります。大雨の日に、雨どいから滝のように水が流れているのを見かけたことはありませんか?それは、メンテナンスのサインかもしれません。排水設備は、年に1〜2回の清掃と、台風前後の点検を習慣化することで、被害を大きく減らすことができます。
4. 防水対策を「事故を防ぐ安全対策」と考える
雨が降ったあとの共用廊下や階段が滑りやすくなるのも、夏のよくある現象です。滑って転倒すれば、入居者からの損害賠償請求リスクも考えられます。防滑マットの設置や、すべり止め加工塗料の活用も防水対策の一環としておすすめです。また、万が一の浸水や漏水に備えて、管理マニュアルや緊急連絡網の整備も重要です。入居者への周知をあらかじめ行っておくことで、トラブル時の混乱を最小限に抑えることができます。
5. 未然の点検・対策が「修繕コスト」を抑える
建物の防水は、見えない部分こそが最も重要です。雨漏りが起きてからでは、修繕費用も膨らみ、信頼も損なわれてしまいます。だからこそ、「異常が起きる前の点検と予防」が資産を守る鍵です。夏本番を迎える前に、防水チェックをルーチン化し、安心して次のシーズンを迎えられる管理体制を整えておきましょう。