賃貸物件の雨漏りに対するオーナー様の対応内容

賃貸物件の雨漏りに対するオーナー様の対応内容

賃貸物件で雨漏りが発生した場合、原則としてオーナー様に修繕義務があります。これは、民法第606条に定められている「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」という条項に基づいています。
1. オーナー様の修繕義務の範囲

オーナー様の修繕義務は、雨漏りの原因箇所を特定し、適切な修繕を行うことを含みます。具体的には、以下のような対応が求められます。

・雨漏りの原因箇所を調査する
・修繕業者を選定し、修繕工事を行う
・修繕費用を負担する
・雨漏りによって被害を受けた家財道具の損害賠償を行う

2. オーナー様が修繕義務を負わない場合

以下の場合には、オーナー様は修繕義務を負わない場合があります。

・入居者の故意または過失によって雨漏りが発生した場合
・天災地変など、不可抗力によって雨漏りが発生した場合
・賃貸借契約書において、修繕義務が借主に転嫁されている場合

3. 入居者の権利

雨漏りによって居住性が著しく低下した場合、入居者は以下のような権利を行使することができます。

①家賃減額
・雨漏りの程度に応じて、家賃を減額することができます。
・家賃減額の割合は、雨漏りの被害状況や修繕期間などを考慮して決定されます。

②契約解除
・雨漏りが長期間にわたって継続し、居住性が著しく低下している場合、契約解除を請求することができます。

4. 入居者に伝えておきたい雨漏り発見時の対応

①証拠を残す
・雨漏り箇所の写真を撮影する
・雨漏りの被害状況を記録する

②管理会社及びオーナーへの連絡
・雨漏りの発生状況を伝え、修繕を依頼する
・連絡は書面(メールなど)で行い、内容を残しておく

5. 雨漏りトラブルの予防

屋根や外壁は、定期的に点検・メンテナンスを行いましょう。特に、台風シーズン前には、専門業者による点検を依頼することをおすすめします。点検では、以下のような箇所に注意が必要です。

・ひび割れ
・剥がれ
・苔やカビの発生
・雨樋の詰まり

雨漏りの兆候を発見したら、すぐに修繕を行いましょう。小さな雨漏りでも放置すると、被害が拡大する可能性があります。

雨漏り時のコミュニケーション

雨漏り時のコミュニケーション

アパートやマンションのオーナーとして、雨漏りトラブルが発生した際は、入居者との適切なコミュニケーションが重要です。以下に、雨漏りトラブル時の入居者への対応ポイントをご紹介します。
1. 迅速な対応
 雨漏りが発生した場合、被害は時間とともに拡大する可能性があります。入居者からの連絡を受けたら、迅速に現地に赴き被害の実態を確認しましょう。修理作業を早急に開始することが重要です。
2. 適時の説明と情報提供
 雨漏りの原因や修理作業の進捗について、入居者に適時説明を行いましょう。具体的な原因や修理の手順、予想される所要時間などを分かりやすく伝えることで、入居者は不安を感じずに済みます。
3. 一時的な対策の提案
 修理が完了するまでの間、雨漏りの被害を最小限に抑えるための一時的な対策を提案しましょう。例えば、発生した部屋の物品の移動や定期的な確認など、入居者にとって実用的で有効な提案を行います。
4. 賠償や補償についての説明
 雨漏りによって生じた損害や被害について、入居者に対し賠償や補償を行うケースもあります。トラブルの原因が建物メンテナンス等の不備に起因した場合、修理費用や生活に支障が生じた場合の補償について、書面で明示しておくことが重要です。
5. 定期的な点検とメンテナンスの強化
 雨漏りの予防には、建物の定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。屋根や排水設備などの重要な箇所を定期的に点検し、問題が発見された場合は迅速に対処します。
6. 情報の早期共有
 雨漏りが疑われる症状に気が付いたら早期に情報提供してもらえるような連絡体制を築いておきましょう。入居者と協力して早期共有に努めることは有効です。

「漏建物の高寿命化・経済耐用年数を向上させるための防水知識と最新技術」
セミナー&相談会 開催報告

1.開催概要

【テーマ】
漏建物の高寿命化・経済耐用年数を向上させるための防水知識と最新技術

【日時】
2024年1月25日(木)13:50~

【会場】
御茶ノ水 連合会館 402
(東京都千代田区神田駿河台3-2-11)

【主催】
一般社団法人日本防水協会

【後援】
公益社団法人東京共同住宅協会/一般社団法人日本給排水設備協会

【定員】
セミナー:45名(完全予約制)

2.セミナー風景

第1部 13:50~14:30
『雨漏り、どこからくるの? 原因事例あれこれ〜起こる前に防げるセルフチェック方法〜』
【講師】株式会社プレイスチャームネクサス 代表 泉谷 淳 氏

●株式会社プレイスチャームネクサス:https://placecharm.jp/

<内容>
・雨漏りの8大原因
・雨漏りサインとセルフチェック
・雨漏り事例(理由・原因/対処・解決方法)
・止水工事について
・防水工事について

第2部 14:40~15:10
『長期修繕計画の改善に繋がる長期保証付き屋上防水工法の技術的解説』
【講師】カスター・ピーエヌ・ジャパン株式会社 代表 兼 協会技術員 尾﨑 晴彦 氏

●カスター・ピーエヌ・ジャパン株式会社:https://koster-japan.com

<内容>
・防水材の基礎知識からわかりやすく解説
・ドイツ生まれの最新技術、 25年長期保証の屋上防水シート製品を紹介

●ポリフィン紹介:https://www.polyfin.net/

第3部 15:20~16:10
『築70年でも生き返る! 解体、躯体補強、給排水・防水…再生までの道のりを一挙公開!』
【講師】公益社団法人東京共同住宅協会 会長 谷崎 憲一 氏

●公益社団法人東京共同住宅協会:https://tojukyo.net/

<内容>
・リノベーションで実際に採用した最新工法について事例を交えて費用面まで解説
・建築資材の価格上昇事情や賃貸物件でも分譲マンションでも共通する大規模修繕の基本

個別相談会 16:20~

漏水対策としての外壁塗装

漏水対策としての外壁塗装

外壁塗装は漏水防止対策に有効です。適切な外壁塗装は建物の耐久性を向上させ、雨水等の侵入を防ぎます。以下に、外壁塗装が漏水対策やその他の主な効果について紹介します。
1. 防水効果
 外壁塗装には防水性があり、雨水等が壁面内部に浸透するのを防ぎます。特に経年で劣化が進んだ外壁塗装は、クラックや穴ができやすく、これらの隙間から雨水等が侵入しやすくなります。機能が維持できている外壁塗装によって外壁表面が保護され、漏水のリスクが低減します。
2. 耐候性向上
 塗装は外部環境から建物を守る有効なバリアとなります。風雨や紫外線から建物を守り、外壁の劣化を防ぎます。劣化が進まないことで、外壁の損傷や亀裂が生じにくくなり、漏水の原因となる隙間が発生しません。
3. クラックや隙間の修復
 外壁塗装によりクラックや隙間が埋まる働きがあります。これにより、漏水の原因となる隙間を塞ぎ、水の侵入を防ぎます。時に気温の変化や建物の収縮・膨張によって生じる微細なクラックも、外壁塗装によって予防できます。
4. 断熱性向上
 外壁塗装には断熱効果が期待できるものもあります。適切な断熱材と組み合わせることで、漏水だけでなく、温度差からくる内部結露や湿気の影響も軽減し、漏水の予防に寄与します。
5. カビや藻の発生を抑制
 塗装には抗菌・抗藻効果があるものもあります。外壁に発生するカビや藻は、その成長が進むと外壁の微細な隙間にまで侵入し、雨漏りの原因となります。外壁塗装によってこれらの微生物の発生を抑制し、建物を保護します。
6. 将来コスト面の低減
 外壁塗装は投資が必要ですが、定期的なメンテナンスの一環として考えれば、漏水被害が発生した場合の修理コストを大幅に削減できコスト面でも効果的な雨漏り対策と言えます。
 これらを総合的に勘案しますと外壁塗装は、漏水だけでなく、建物そのものの機能を保つ上で不可欠な要素となります。専門業者による定期的な点検や定期的なメンテナンスが、建物の漏水対策として効果的です。きちんとメンテナンスされた外壁は、入居者にとっても安心で快適な住環境を提供できるだけでなく、建物オーナー様にとっても資産価値を維持する重要な要素となります。

雨漏り発生時の入居者への適切な対応

雨漏り発生時の入居者への適切な対応

雨漏りは建物における突発的なトラブルの一つであり、賃貸住宅で発生した際にはオーナー様には、入居者との信頼関係を維持するために誠実な対応が求められます。以下に、対応のポイントを紹介します。
1. 迅速な対応
 雨漏りが発生した場合、時間の経過とともに被害は拡大する可能性があります。そのため、迅速に対応することが重要です。最初に入居者からの連絡を受けたら、事業者とともに速やかに現地に赴き被害の実態を確認しましょう。そしてすぐに事業者の見解、判断を把握し早期に修理作業を開始するよう努めましょう。
2. 事前の説明と情報提供
 雨漏りが発生した理由や修理作業の進捗について、入居者に適時説明を行うことが大切です。具体的な原因や修理の手順、予想される所要時間などを分かりやすく伝えることで、入居者は不安を感じずに済みます。また、定期的に進捗報告を実施し入居者に安心感を提供するよう心がけましょう。
3. 一時的な対策の提案
 修理が完了するまでの間、雨漏りの被害を最小限に抑えるための一時的な対策を提案することも重要です。例えば、発生した部屋の物品の移動、定期的確認など入居者にとって実用的で有効な提案を行いましょう。これにより、被害拡大を防ぎつつ、入居者の生活の継続が可能となります。
4. 賠償や補償についての説明
 雨漏りによって生じた損害や被害について入居者に対し賠償や補償を行うケースもあるでしょう。トラブルの原因が建物メンテナンス等の不備に起因した場合、修理費用や生活に支障が生じた場合の補償について、書面で明示しておくことが重要です。透明性を持たせることにより入居者との信頼関係を損なうことなく問題解決に努めることとなります。
5. 定期的な点検とメンテナンスの強化
 雨漏りの予防には、建物の定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。屋根や排水設備などの重要な箇所を定期的に点検し、問題が発見された場合は迅速に対処します。入居者にも、定期的な点検の重要性を説明し協力を仰ぎ、お互いが安心して生活できる環境づくりに努めます。
6. 情報の早期共有
 雨漏りが疑われる症状に気が付いたら早期に情報提供してもらえるような連絡体制を築いておきましょう。例えば、湿度を感じたりカビの発生など漏水の兆候となる事象を伝えておき、気づいたらすぐに連絡してもらうようにするなど、入居者と協力して早期共有に努めることは大変有効です。

冬の屋根・防水層対策

冬の屋根・防水層対策

冬季の屋根・防水層の劣化進行の原因の一つとして、「屋根に積もった雪」があります。積もった雪が、暖房の熱で屋根・防水層の表面で溶け、常時湿潤状態となることにより劣化を引き起こすのです。ここでは、雪下ろしをはじめとした、屋根・防水層の劣化防止対策のポイントをご紹介します。
1. 雪おろしの実施
 雪おろしは冬の建物保護の基本です。降り積もった雪は、暖房の熱で屋根・防水層の表面では溶け、常時湿潤状態となることから劣化を引き起こします。雪おろしは、雪が降り積もった後、早めに行うのがおすすめです。雪が重くなると、雪おろしが困難になるだけでなく、屋根の破損や落下などの危険性も高まります。雪おろしを行う際は、以下の点に注意しましょう。
・屋根の状態を確認し、安全に雪おろしができるか確認する
屋根が破損していたり、雪止めが設置されていなかったりする場合は、安全に雪おろしができない可能性があります。事前に屋根の状態を確認し、安全に雪おろしができるかどうかを判断しましょう。
・滑り止めの使用や、複数人で作業を行うなど、安全に配慮する
冬季の屋根は滑りやすいため、滑り止めの使用や、複数人で作業を行うなど、安全に配慮しましょう。また、高所作業ですので、ヘルメットや安全ベルトなどの安全装備を着用することも忘れずに。
・雪おろしした雪は、適切な場所に片付ける
雪おろしした雪は、道路や歩道に放置すると、交通事故や歩行者の転倒などの原因となります。適切な場所に片付けるようにしましょう。
2. 屋根の点検
・屋根材のひび割れや劣化の有無
・排水口の詰まりや劣化の有無
・防水層の劣化の有無
3. 雨漏りの兆候を早期発見する
 天井や壁にシミやカビが発生した場合、雨漏りの可能性があります。早期に発見することで、被害の拡大を防ぐことができます。天井や壁にシミやカビが発生した場合は、早めに専門業者に連絡しましょう。