冬季マンションの防水ポイント

冬季マンションの防水ポイント

 冬季マンションの防水に関してオーナー様に知っていただきたいポイントをご紹介します。

1. 冬の寒さがマンション防水に与える影響

 冬季は温度変化が激しく、日中に溶けた水が夜間に凍る「凍結・融解サイクル」が発生しやすくなります。これにより、防水層に亀裂が入ったり、下地が膨張して剥離が生じるリスクが高まります。また、防水材に使用されているシリコンやウレタン素材は寒さに弱い場合があり、低温下での弾性低下が原因でひび割れが起こることもあります。

2. 冬に起きやすい雨漏りの原因とその対策

 屋上やバルコニーに積もった雪が溶けると、水たまりとなり防水層に負担をかけます。これによる排水不良や、そもそもの勾配不足が原因で雨漏りに発展する場合もあります。また、室内外の温度差が大きい冬は結露が多発しますので、これが防水不良部分に浸透し、室内への水漏れの原因にもなり得ます。

3. 冬前に済ませておきたい防水チェックポイント

①排水口や雨樋の清掃
 落ち葉やゴミが詰まることで水たまりが発生し、防水層を傷める原因になります。

②屋上・外壁のひび割れ確認
 小さな亀裂でも、低温下では水分が凍り膨張して大きなダメージを引き起こします。

③シーリング材の確認
 サッシや壁際のシール材のひび割れは雨水侵入の元となります。寒さで硬化しやすい箇所を重点的に点検しましょう。

4. マンション防水と暖房効率の関係

①防水層の断熱効果
 防水層が適切だと建物の気密性が向上し、冷気の侵入を防げるため、暖房効率がアップし、光熱費の削減も可能になります。

②防水不良の影響
 ひび割れや漏水箇所があると断熱材が濡れ、断熱効果が低下します。その結果、暖房負荷が増えるため早急な補修が必要です。

5. 積雪地域のマンションにおける防水対策

 積雪地域では、雪解け後のトラブル防止が重要です。例えば融雪装置の水が適切に排水されるよう排水計画を事前に見直したり、防水層に対して融雪剤が悪影響を及ぼす場合もあるため、防水材の耐薬品性も考慮しましょう。

6. 冬季に見落としがちな共用部防水の盲点

 共用部は住民全員が利用するため、特に防水対策が重要です。特に地下駐車場では水たまりが発生しやすい箇所を特定し、防水補修や傾斜調整を行うことをお勧めします。また、落ち葉やゴミと同様、雨樋は雪や氷でも詰まりやすいため、凍結防止ヒーター設置が有効です。

マンションにおける漏水被害の実例と、その教訓

マンションにおける漏水被害の実例と、その教訓

 漏水は賃貸マンションや分譲マンションで起こり得るトラブルであり、壁や床の劣化だけでなく、隣接する部屋や下階の住人にまで被害を及ぼすことが多い問題です。修理費用も高く、対応に時間もかかるため早期発見や予防策が欠かせません。

実例1:浴室排水管の劣化による漏水

 ある賃貸マンションで、入居者が気付かない間に浴室の排水管から漏水が発生し、下階の住居天井にシミが発生。住人のクレームにより発覚しました。

◆原因:
 古いマンションで排水管が老朽化しており、日常的なメンテナンスが不足していた。

◆教訓:
 排水管の定期点検を怠らないことが大切。築年数が経過しているマンションは、配管のメンテナンススケジュールを計画し、老朽化に応じた予防保全を行う必要があります。

実例2:冬場の凍結による給水管の破裂

 冬季、寒冷地のマンションで給水管が凍結し破裂。入居者が帰宅した際には床一面が水浸しになり、隣接する部屋にも浸水被害が発生しました。

◆原因:
 給水管が外壁近くに設置されており、寒冷対策が不十分だった。

◆教訓:
 特に寒冷地では、外壁付近の給水管に断熱材を使用するなど、寒さ対策が必要です。また、寒冷対策のアナウンスを入居者にも行い、長期外出時には水を少量流しておくなどの協力を求めることが有効です。

実例3:給湯器の老朽化による水漏れ事故

 築20年以上のマンションで給湯器が老朽化し、突然水漏れを起こしました。水漏れに気づかずに放置されたことで床材が水を吸収し、修復が必要になりました。

◆原因:
 定期的な点検が実施されておらず、給湯器の寿命が来ていたが交換されていなかった。

◆教訓:
 古い設備には定期点検と交換の計画が必要です。特に、給湯器などの設備は耐用年数を超えると急に劣化するリスクが高まるため、早めの交換を検討しましょう。

実例4:共有部分の雨漏りとその対応遅れ

 マンションの屋上防水が劣化しており、大雨の際に上階の廊下部分に雨漏りが発生。早急な対策を講じずにいたことで、やがて水が浸透し、住居部分にも影響が出始めました。

◆原因:
 防水工事の周期的なメンテナンスを怠り、初期対応が遅れた。

◆教訓:
 雨漏りは早期発見と修繕が必須です。特に屋上や外壁の防水処理は周期的に見直し、劣化が見られた場合には早急に対処する必要があります。

まとめ:漏水予防と被害軽減のためにできること

 漏水被害は、物件全体の劣化防止や快適な住環境を維持するために重要な課題です。しかし日常的な点検とメンテナンス計画の作成を実施することで、漏水リスクを最小限に抑えることができます。また、管理会社や入居者への情報提供と協力体制を築くことも、漏水の早期発見に役立ちます。

アパート、マンションの漏水事前対策として賃貸オーナー様が日々できること

アパート、マンションの漏水事前対策として賃貸オーナー様が日々できること

 賃貸物件の管理において、漏水は大きな問題となります。漏水が発生すると、物件の価値が低下するだけでなく、入居者にとっても生活環境が悪化します。さらに、漏水による修理費用や賠償責任が発生する可能性もあるため、賃貸オーナー様は日々の管理において漏水対策を事前に講じることをお勧めします。

1. 定期的な点検

①配管のチェック
 建物内外の配管を確認し、目視でひび割れや腐食の兆候を探します。特に古い配管は劣化しやすいため、注意が必要です。

②水漏れの確認
 蛇口やシャワーの周辺を定期的にチェックし、漏れがないか確認します。目立たない場所でも水滴が見られる場合は要注意。

2. 入居者とのコミュニケーション

①報告システムの構築
 入居者が問題を簡単に報告できるような仕組み(例えば、専用の電話番号やアプリ)を用意します。

②定期的な連絡
 定期的に電話やメールで入居者に連絡し、居住空間の状態や問題点をヒアリングします。問題を早期に発見できる可能性が高まります。

3. 排水溝の清掃

① 清掃スケジュールの設定
 共用部分の排水溝やドレンの清掃を定期的に行うスケジュールを作成し、実行します。特に梅雨時期や秋の落ち葉の時期の実施は有効です。

②詰まりの予防
 排水口にフィルターを設置し、髪の毛やゴミが詰まらないように工夫します。

4. 給水設備の維持管理

①定期的なメンテナンス
 給水タンクやポンプの状態を定期的に点検し、必要に応じて部品を交換します。

②水質検査
 水質のチェックを行い、不純物や異常がないか確認します。特に配管が古い場合は注意が有効です。

5. エアコンの点検

①ドレンホースのチェック
 エアコンのドレンホースが詰まっていないか確認し、定期的に清掃します。詰まりがあると水が漏れ出す原因になります。

②フィルターの掃除
 エアコンのフィルターを定期的に掃除し、効率を保つとともにドレンホースのつまりを防ぎます。

6. 水道の使用状況の確認

①水道メーターの確認
 定期的に水道メーターをチェックし、日常と異なる使用量ではないか確認する。不自然な増加が見られた場合は漏水に起因する場合があります。

②水道料金履歴の分析
 過去の水道料金と比較し、日常と異なる変動がないか分析します。特に長期間の変化に注意を払います。

7. 専門業者との連携

①定期点検の契約
 水道業者や専門のメンテナンス会社と定期点検契約を結ぶことで、定期的にプロに状態を確認してもらいます。

②トラブル対応のフロー
 万が一のトラブル時に迅速に対応できるよう、業者の連絡先を常に更新しておきます。

8. 漏水検知システムの導入

①自動検知システムの設置
 漏水を自動的に検知するシステムを導入することで、早期発見が可能になります。設置場所は水道管の近くや、エアコンのドレン周辺が適しています。

②アラート機能の活用
 漏水が発生した際に通知を受け取ることができるシステムを選ぶことで、迅速な対応が可能になります。

 これらの具体的な対策を日常的に実施することで、漏水のリスクを大幅に減少させ、賃貸物件の価値を維持し、入居者に安心して住んでもらうことができます。

一般社団法人日本防水協会・一般社団法人日本給排水設備協会 2024年度合同会員大会 開催報告

1.開催概要

<日時>
2024年9月12日(木)午前11時~13時(昼食時間含む)

<場所>
株式会社パワーコンサルティングネットワークス本社 会議室

<式次第>
①日本防水協会 ご挨拶-日本防水協会 代表理事 黒田真隆
②日本防水協会 活動報告-日本防水協会 理事 谷崎憲一
③日本給排水設備協会 ご挨拶-日本給排水設備協会 代表理事 泉谷淳
④日本給排水設備協会 活動報告-日本防水協会 事務局長 谷崎憲一
⑤活動計画(二団体)-日本防水協会 理事 谷崎憲一
⑥日本防水協会 体制報告-日本防水協会 代表理事 黒田真隆
⑦日本給排水設備協会 体制報告-日本給排水設備協会 代表理事 泉谷淳
⑧懇親昼食会

2.開催風景ピックアップ

①日本防水協会 ご挨拶-日本防水協会 代表理事 黒田真隆

ご挨拶と共に、事業目的並びに事業内容の確認を行いました。

②日本防水協会 活動報告-日本防水協会 理事 谷崎憲一

活動報告として、主に次の2回のイベントについて取り上げました。

◆2024年8月6日開催
「漏水問題の法律知識から 最新漏水調査まで一挙ご紹介」セミナー&相談会

◆2024年8月28日開催
「銀座アポロ昭和館」見学会

また、日本防水協会の集客・団体周知活動について、以下の点もご説明いたしました。

・WEB広告
・専門誌『住宅新報』への広告掲載
・メールマガジン配信
・ホームページにおける情報定期更新
・土地活用プランナー登録者への告知
・各種小冊子などの制作、配布

 加えて、上記コンテンツなどに対する「お客様の声」もご紹介いたしました。

③日本給排水設備協会 ご挨拶-日本給排水設備協会 代表理事 泉谷淳

ご挨拶と共に、事業目的並びに事業内容の確認を行いました。

④日本給排水設備協会 活動報告-日本防水協会 事務局長 谷崎憲一

活動報告として、主に次の内容ついて取り上げました。

◆ホームページにおける記事掲載

◆ホームページにおける集客や会員紹介について

⑤活動計画(二団体)-日本防水協会 理事 谷崎憲一

今後の活動計画として、以下のご説明をしました。

・セミナー、相談会の開催予定
・内容を厳選してのフェア出展
・HPのブラッシュアップについて
 →コラムの定期掲載
 →事例の紹介 など
・メールマガジンの活用
・プレスリリースの活用

⑥日本防水協会 新体制報告-日本防水協会 代表理事 黒田真隆
⑦日本給排水設備協会 新体制報告-日本給排水設備協会 代表理事 泉谷淳

上記2団体の体制について、ご報告を行いました。

以上

漏水と雨漏りとの違い、原因、対処法

漏水と雨漏りとの違い、原因、対処法

 建物の健康を守るためには、漏水と雨漏りの違いを理解し、適切な対処を行うことが不可欠です。両者には異なる原因があり、対応方法も異なりますが、いずれも放置すると建物に深刻なダメージを与える可能性があります。ここでは、漏水と雨漏りの違いや主な原因、そして迅速に対処するための方法について解説します。

1.漏水(ろうすい)

 建物内の配管や給排水設備機器の不具合が原因で発生します。

原因①:配管の劣化
 屋根材は風雨や紫外線の影響で徐々に劣化します。瓦やスレート、金属製の屋根材などがひび割れたり、ずれたりすると、その隙間から雨水が侵入します。また、屋根材が飛んでしまったり、欠けてしまった場合も雨漏りの原因となります。

原因②:接続部の不具合
 配管同士の接続部分には、シール材やパッキンが使用されていることもあり、これらが経年劣化や不適切な取り付けにより効果を失うと、接続部分から漏水が起こります。また、地震や建物の動きによって配管がずれたり、緩んだりすることでも漏水は発生します。

原因③:設備の故障
 トイレや洗面台、給湯器などの設備機器の不具合での漏水が起こります。例えば、トイレのタンク内でパッキンが劣化して水が流れ続けることによる、漏水、給湯器の配管や接続部分の不具合により発生する漏水などです。

対処①:漏水箇所の特定
 水道メーターを確認し、すべての蛇口を閉めた状態でもメーターが動いている場合、どこかで漏水が発生している可能性が高いです。水が漏れている箇所を視覚的に確認し、特定します。

対処②:専門業者への連絡
 漏水箇所が特定できたら、専門の配管工事業者に連絡して修理を依頼します。早急に修理を行わないと、建物の構造や内装に被害が広がる可能性があります。

対処③:応急処置
 修理が行われるまでの間、漏水を一時的に止めるために、水道の元栓を締めることが有効です。また、漏れた水を拭き取ることで、さらなる被害の広がりを防ぐことができます。

2.雨漏り

 外部からの雨水が建物に侵入することで起こります。

原因①:屋根材の劣化
 屋根材は風雨や紫外線の影響で徐々に劣化します。瓦やスレート、金属製の屋根材などがひび割れたり、ずれたりすると、その隙間から雨水が侵入します。また、屋根材が飛んでしまったり、欠けてしまった場合も雨漏りの原因となります。

原因②:防水シートの破損
 屋根の下には防水シートが敷かれており、雨水が屋内に浸入するのを防いでいます。しかし、このシートが破損したり劣化すると、雨水が屋根材を通過して建物内部に侵入します。シートの寿命が尽きている場合や、施工時に適切に敷かれていなかった場合も同様に雨水が浸水します。

原因③:外壁のひび割れ
 外壁に発生したひび割れや隙間から、雨水が侵入することがあります。特に、コンクリートやモルタルの外壁は、経年劣化によりひびが入りやすくなります。また、外壁の防水処理が不十分な場合も、雨水の浸入が起こります。

原因④:窓やサッシの不具合
 窓枠やサッシの隙間からも雨水が入り込むことがあります。特に、古い建物では窓のゴムパッキンが劣化している場合があり、それが原因で雨水が室内に漏れ出します。また、窓の取り付けが不十分な場合にも雨漏りが発生します。

対処①:原因箇所の確認
 雨漏りが発生している場所を調べ、屋根や外壁、窓周りの状態を確認します。内部からの調査だけでなく、外部からも確認することが重要です。

対処②:応急処置
 雨漏りが進行するのを防ぐために、ビニールシートを使用して一時的に雨水の侵入を防ぎます。内部の水が漏れている箇所に受け皿となるバケツ等を置き被害の広がりを防ぎます。

対処③:専門業者への依頼
 雨漏りの原因となっている箇所を修理するために、専門の屋根工事業者や外壁工事業者に依頼します。屋根材や防水シートの交換、外壁の補修などが必要な場合があります。

 漏水と雨漏りのいずれの場合も、早急な対応が建物を守るために重要です。両者の違い、原因と対処法を正しく理解し、適切な対応を取ることで、被害の拡大を防ぐことができます。