ビルの雨漏り3大要因

ビルの雨漏り3大要因

1.なぜマンションで雨漏りが発生するのか

 ビルのイメージといえばコンクリートづくりであり、戸建て住宅のように雨漏りに悩まされることは少ないと考えている方も多いことでしょう。しかし、ビルであっても雨漏りはあり、その使用状況やテナントの種類によっては、設備が濡れてしまい、大きな損害を被ってしまうことも決して少なくありません。パソコンなどの精密機器ですと、水が垂れてしまうことで壊れてしまったり、大切なデータが消えてしまったり、ということもあります。だからこそ、雨漏りの原因となる箇所をしっかり把握しておき、普段からメンテナンスに気を配っておくことが大切なのです。

要因①:屋上の劣化

 日中、屋上は常に太陽光や紫外線に晒されているため、ここが劣化することが、雨漏りの最大の要因となっています。一般的に、屋上はトップコート(防水層を保護するために上から塗る塗料のこと)で保護されてはいますが、これも劣化し、補修を行っていなければ雨漏りが発生してしまいます。加えて、屋上の排水口の周りのヒビ割れや外壁との接点となる箇所の境目などからも水が浸入することがあります。

要因②:外壁のヒビ割れ

 ビルの外壁も、屋上と同じく紫外線や風雨など環境による劣化が発生し、加えて地震や場所によっては道路からくる振動でヒビ割れを起こす場合がります。タイルなどの表層がヒビ割れているだけでなく、内部の躯体コンクリートまでヒビ割れが達している場合は雨漏りが内部に侵入してしまいます。

要因③:サッシ周りの劣化

 窓枠のサッシ周りにはコーキング(建築物の気密性や防水性のために、施工の際にできる隙間をコーキング剤で充填すること)が施工されており、これが劣化してヒビ割れしてしまうことで、雨漏りにつながってしまいます。ここから浸入する水によって、窓の周りやそこから内装に被害が出てしまいます。
<雨漏りが発生した際の初期対応について>

対応①:応急処置

 水滴が落ちてくる直下にバケツなどを置き、床に水が広がらないようにします。跳ね返りが周辺に飛ぶ場合は、ビニールシートを敷くことも有効です。

対応②:ビルの管理会社に連絡する

 管理会社に雨漏りの状況を伝え、なるべく早いタイミングでの補修工事などを依頼します。

対応③:状況の記録

 雨漏り状況の写真や動画を撮影しておくことは、補修工事に役立つと共に、火災保険や損害保険の申請書類作成に利用することができます。

マンションにおける雨漏り・水漏れについて

マンションにおける雨漏り・水漏れについて

1.なぜマンションで雨漏りが発生するのか

マンションで雨漏りが発生する原因は、主に以下の4つが考えられます。
原因①:外壁の劣化、破損
原因②:屋根の劣化、破損
原因③:窓の隙間からの浸入
原因④:水道のトラブル

①外壁の劣化、破損について

外壁に経年でひび割れや破損が発生することがあります。また、大規模修繕工事の不備により、工事から1~2年で雨漏りが発生するケースもあります。

②屋上の劣化、破損について

シート防水や塗膜防水などの防水層に、紫外線などによる経年劣化によって亀裂や穴あきが発生すると、それが雨漏りの原因となります。

③窓の隙間からの浸入について

窓や建具のまわりはシーリング処理がされており、これが劣化すると亀裂や隙間が発生し、雨漏りの原因となります。

④水道のトラブル

一例としては、上の階の給排水設備に不具合が発生すると、その水漏れが階下の天井に影響を及ぼしてしまいます。
2.マンションで雨漏りが発生した時の応急処置
マンションで雨漏りや水漏れが発生した際は、階下や隣の部屋にその被害を波及させないように、応急処置をする必要があります。
処置①:天井から落ちてくる水は、バケツで受け止める
処置②:窓から浸入する水は、水滴が飛び散らないように吸水シートで受け止める
また、修理を業者に依頼する際の迅速な原因特定のためにも、雨漏り箇所の写真や動画を撮っておくようにします。
3.マンションで雨漏りを発生させないための対策
対策①:外壁のタイルが浮いていないか、またひび割れがないかなど、定期的に確認する
対策②:屋上についても、亀裂や穴あきがないかなど、定期的に確認する
対策③:屋上の排水溝も、ゴミがつまらないように、定期的に清掃をする

屋上防水を長持ちさせるためのポイント

屋上防水を長持ちさせるためのポイント

屋上防水を長持ちさせるためには、次のポイントがあります
ポイント①:定期的にルーフドレンの点検を行う
ポイント②:変色したらトップコートを塗り替える
ポイント③:膨れやひび割れはしっかりと補修する
ポイント④:シートの破れやめくれに対応する
ポイント①:定期的にルーフドレンの点検を行う
「ルーフドレン」とは、屋上やベランダなどに設置された雨水の排出やゴミを集めるための金物です。ルーフドレンにゴミが蓄積すると排水不良を起こして常に水がたまった状態になり、ルーフドレンの錆が進行してしまい、劣化します。結果、ルーフドレンと防水層のジョイント部分も劣化し隙間ができ、そこから雨水が侵入してしまうのです。したがって、1年に1回位はルーフドレンの点検を行い、雨水や泥がたまっていないか確認することが大切です。
ポイント②:変色したらトップコートを塗り替える
「トップコート」とは外壁や屋根、ベランダなどを守る塗膜を指します。このトップコートに変色がある場合は、劣化が進んでいる状態であると考えられ、トップコートの塗り替え時期と言えます。目安としては、5年に一度の塗り替えが良いとされています。なお、ウレタン防水の場合は特に紫外線による劣化が進みやすいため、定期的な確認が必用になります。
ポイント③:防水層の膨れやひび割れはしっかりと補修する
「防水層」とは、屋上 や ベランダ ・ バルコニー などである程度の厚みを有して雨水を防ぐ膜のことを指します。こちらに膨れやひび割れが発生している場合は、劣化が進行している可能性が高くなります。なお、防水層の膨れが大きくなると亀裂や穴開きが生じやすくなってしまうため、補修の検討が必用になってきます。
ポイント④:防水シートの破れやめくれに対応する
ゴムシートや塩ビシートといった「防水シート」の破れや接合部・端部のめくれを発見した場合は、すでに雨水が侵入している可能性が高いため早急に補修する必要があります。そのまま放っておくと雨水が建物内に侵入し、鉄部の錆やコンクリートの爆裂などを発生させてしまうことにつながります。

防水工事の種類と流れ④ <アスファルト防水>

防水工事の種類と流れ④ <アスファルト防水>

1.アスファルト防水とは
アスファルト防水は、昔から行われている工事方法であり、高い信頼性があります。工事内容としては、溶かした液状のアスファルトとアスファルトシートを組み合わせて防水層を作るというものになります。
2.アスファルト防水のメリット
①火災の可能性がある
②臭気がする場合がある
③工事の難易度が高い(特にしっかりとした業者に任せなければならない)
3.アスファルト防水の工法
工法には次の3種類があります。

①熱工法
②トーチ工法
③冷工法

4.熱工法の流れ
①下地清掃…下地の汚れを取り除きます。
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②下地処理・改修用ドレン設置…下地を調整し、雨水を流すためのドレン(排水溝)を設置します。
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③ドレンの設置…雨水を流すためのドレン(排水溝)を設置します。
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④プライマーの塗布…プライマー(接着剤)を塗ります。
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⑤パラペット(屋根の外周部に立ち上がった壁)にシートの貼り付け…パラペット立ち上がり部にアスファルトルーフィングシート(板紙にアスファルトを浸み込ませた防水シート)を貼り付けます。
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⑥アスファルトルーフィングシート貼り付け…アスファルトルーフィングシートに溶融したアスファルトを流しながら貼り付けます。
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⑦アスファルト塗り…溶融したアスファルトをシートに塗ります。
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⑧熱工法によるアスファルト防水完了…作業は全体を通して8日~12日で完了します。
5.トーチ工法の流れ
①下地清掃…下地の汚れを取り除きます。
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②下地処理・改修用ドレン設置…下地を調整し、雨水を流すためのドレン(排水溝)を設置します。
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③ドレンの設置…雨水を流すためのドレン(排水溝)を設置します。
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④プライマーの塗布…プライマー(接着剤)を塗ります。
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⑤パラペット(屋根の外周部に立ち上がった壁)にシートの貼り付け…パラペット立ち上がり部にシートを貼り付けます。
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⑥アスファルトシート貼り付け…トーチバーナーでシート裏面と下地をあぶり、アスファルトを溶解させ張り合わせます。
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⑦トップコート塗布…紫外線や雨風から守るためにトップコートを塗ります。
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⑧トーチ工法によるアスファルト防水完了…作業は全体を通して8日~12日で完了します。
6.常温工法の流れ
①下地清掃…下地の汚れを取り除きます。
  ▼
②下地処理・改修用ドレン設置…下地を調整し、雨水を流すためのドレン(排水溝)を設置します。
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③ドレンの設置…雨水を流すためのドレン(排水溝)を設置します。
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④プライマーの塗布…プライマー(接着剤)を塗ります。
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⑤パラペット(屋根の外周部に立ち上がった壁)にシートの貼り付け…パラペット立ち上がり部にシートを貼り付けます。
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⑥アスファルトシート貼り付け…改質アスファルトシートを下地に貼り付けます。
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⑦繋ぎ目にシール…シートの貼り合わせ部分をシール材で充填します。
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⑧トップコート塗布…紫外線や雨風から守るためにトップコートを塗ります。
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⑧常温工法によるアスファルト防水完了…作業は全体を通して5日~7日で完了します。

防水セミナー&最新防水材・工法のご紹介 開催報告

※当セミナーは定員分満員での開催となりました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

1.開催概要

【セミナーURL】
https://bousui-association.jp/seminar20220913/

【テーマ】
防水セミナー&最新防水材・工法のご紹介

【日時】
2022年9月13日(火) 13:30~

【会場】
アットビジネスセンタ-渋谷 東口駅前
東京都渋谷区渋谷2-22-8名取ビル5F (渋谷駅前 ・ヒカリエ側1分)

【主催】
一般社団法人日本防水協会

【後援】
公益社団法人東京共同住宅協会/一般社団法人日本給排水設備協会

【定員】
セミナー:60名(予約制、1社2名まで)・個別相談会:6組(予約制)

2.セミナー風景

第1部 経済・マーケット編 13:30~14:00
『コロナ・ウクライナ情勢とインフレ・円安などによる資材物価と不動産の動き』

【講師】
公益社団法人東京共同住宅協会 研究室長 ㈱パワーコンサルティング 谷崎憲一氏
㈱パワーコンサルティング:https://www.powercon.jp/

→次々と値上げされている建築資材や世界経済・日本経済の行方と懸念される悪性インフレの構造について紹介されました。


第2部 技術編① 14:00~14:50
『最新の防水・止水材および工法の紹介(各25分)』

(1)超速硬化で工期の大幅な短縮が可能なポリウレア防水材「アクアハジクン」のご紹介
【講師】
日本防水協会会員 ㈱日本アクア 防水事業部 サブマネージャー 飯田雅人氏
㈱日本アクア:https://www.n-aqua.jp/

→「アクアハジクン」の施工内容や施工事例、その特長について紹介されました。

(2)コンクリートの補修効果を可視化!「弾性波非破壊検査」のご紹介
【講師】
日本防水協会会員 ㈱山陽工業 IPH工法推進室室長 山田哲矢氏
㈱山陽工業:https://www.sanyo-gr.co.jp/

→コンクリートの補修効果を可視化する弾性派非破壊検査「トモグラフイ」について紹介されました。


第3部 技術編② 15:00~15:55
『雨漏り・漏水の原因を事例と各種止水・防水材のご紹介』

(3)なぜ雨漏り・漏水が起こるのか、原因を理論的にわかりやすく事例で解説&25年保証付き屋上防水シートPOLYFIN,ほかドイツ製防水・止水材ご紹介(30分)
【講師】
日本防水協会技術委員 カスター・ピーエヌ・ジャパン㈱ 代表 尾崎晴彦氏
カスター・ピーエヌ・ジャパン㈱: https://koster-japan.com/

→RC建物の漏水の原因と対処法に加え、大規模修繕における漏水予防法について紹介されました。

(4)防水・塗装業界で今最も注目されている、断熱セラミックGAINAのご紹介(25分)
【講師】
日本防水協会会員 ㈱日進産業 取締役総務部長 望月正和氏
㈱日進産業: http://www.nisshin-sangyou.co.jp/

→JAXAでも活用されている断熱技術「GAINA」の住居に対する活用方法について紹介されました。


第4部 16:00~16:40
『個別相談会』 セミナー終了後 個別相談会開催(完全予約制 先着6組まで)


3.ご参加者アンケートについて

(1)ご参加者様の属性

(2)今後受けたいセミナーテーマ

・施工単価と施工性能
・防水原因の発見の仕方と基本的ノウハウ
・建物管理に関する最新トレンド
・最新防水材や工法
・マンション改修工事の事例
・工事を行った際の具体的例及び費用
・大規模修繕時の改修法と材料
・厨房漏水など内部的な漏水について