RC建物の手入れ・補修の目安

一般的に、RC(鉄筋コンクリート)建物では、約10年〜15年ごとに建物全体の外壁や屋根などの「大規模修繕」が必要になると言われています。
防水に大きく関わる部分としては、PC(注1)外壁目地防水の取替、PC屋根線防水、バルコニー床防水などが挙げられますが、その他にも外壁塗装、外壁タイルの修繕、機械設備の修理、給排水の配管修理などの手入れや補修も、建物の長期維持・保全の水漏れ・雨漏りを防ぐために重要なメンテナンスとなっています。残念ながら、日常から細かなメンテナンス管理をしっかり行っていても、物理的な損耗や経年劣化などは完全に防ぐことはできません。
ただし例えば、コンクリートの細かなヒビ割れなどを見逃さず常に防水を意識したRC建物と、そのまま一定期間以上放置した建物では、築20〜30年後には外観および耐久性などにおいて大きな差が生じます。先手を打った防水メンテナンスは、結果的に賃貸経営においての経済的メリットにも繋がるのです。
建物の経年劣化メンテナンス管理は、物件の引き渡しを受けた瞬間から始まります。適切なメンテナンス管理を怠れば、建物の資産価値を大きく毀損するだけでなく、ひいては入居者の“質”の低下などの問題も副次的に引き起こしてしまいますので注意が必要です。
長期にわたり満室経営を維持するためにも、日常的メンテナンス管理、定期的な点検、大規模修繕などにより大切な建物の評価を高く保ち、少子高齢化時代において良質な入居者に選ばれる物件作りを目指しましょう。

(注1)PC(PCパネル)とは工場で型枠に打ち込んで製造したコンクリート板。

RC建物の手入れ・補修の目安一覧
分類 箇所 手入れ・補修の
目安(年)
補修基準・内容
塗装外壁 鋼製手摺・建具塗替 5~8 風雨の吹き付け状況、道路状況・日照状況による
外壁塗替 10~15 吹付塗装(下地補修含む)風雨の吹き付け状況
道路状況・日照状況による
外壁タイル修繕 12~15 点検の上、部分補修又はタイル張り替え
防水 PC外壁目地防水取替 10~15 ウレタン、コーキング取替のみ
バルコニー床防水 10~15 目地塗膜防水は別途
PC屋根線防水 10~15 床全面急硬性弾性樹脂モルタル塗
ノンスリップ取替 10~15 使用状況による
集合郵便受箱の取替 10~15 ステンレス製が望ましい
給水 FRP製水槽内面ライニング 15~ メンテナンス状況による
給水ポンプ修理 10~15 機械の質、使用状況による(予備も含む)
屋内給水管取替 15~20 品質向上のため差がある(地中配管及び共用管も点検)
汚水 汚水ポンプ修理 5~8 建物の設計状況・メンテナンス状況による
汚水処理場・機械装置修理 5~8 建物の設計状況・メンテナンス状況による
台所排水管取替 10~15 使用状況による、品質向上のため差がある
浴室・洗面所排水管取替 20~ 使用状況による、品質向上のため差がある
ガス 屋外ガス管取替(共用) 20~ 建物の設計状況・メンテナンス状況による
屋内ガス管取替(専用) 20~ 建物の設計状況・メンテナンス状況による
消火警報 消火ポンプ取替 5~ 高層の場合
屋内消火栓、配管取替 30~
警報設備取替 25~
屋内 照明器具(共用灯)取替 10~15 白熱灯、蛍光灯設備の取替・使用状況による
開閉器取替 25~ 主開閉器、共用灯分電盤の取替・使用状況による
屋外 開閉器取替 15~ 引込開閉器屋外灯分電盤の取替・使用状況による
照明器具(屋外灯)取替 10~ 蛍光灯水銀灯の取替・使用状況による
制御盤取替 20~ 給水、汚水施設の動力盤の取替・設置状況による
一般的に、RC(鉄筋コンクリート)建物では、約10年〜15年ごとに建物全体の外壁や屋根などの「大規模修繕」が必要になると言われています。
防水に大きく関わる部分としては、PC外壁目地防水の取替、PC屋根線防水、バルコニー床防水などが挙げられますが、その他にも外壁塗装、外壁タイルの修繕、機械設備の修理、給排水の配管修理などの手入れや補修も、建物の長期維持・保全の水漏れ・雨漏りを防ぐために重要なメンテナンスとなっています。残念ながら、日常から細かなメンテナンス管理をしっかり行っていても、物理的な損耗や経年劣化などは完全に防ぐことはできません。
ただし例えば、コンクリートの細かなヒビ割れなどを見逃さず常に防水を意識したRC建物と、そのまま一定期間以上放置した建物では、築20〜30年後には外観および耐久性などにおいて大きな差が生じます。先手を打った防水メンテナンスは、結果的に賃貸経営においての経済的メリットにも繋がるのです。
建物の経年劣化メンテナンス管理は、物件の引き渡しを受けた瞬間から始まります。適切なメンテナンス管理を怠れば、建物の資産価値を大きく毀損するだけでなく、ひいては入居者の“質”の低下などの問題も副次的に引き起こしてしまいますので注意が必要です。
長期にわたり満室経営を維持するためにも、日常的メンテナンス管理、定期的な点検、大規模修繕などにより大切な建物の評価を高く保ち、少子高齢化時代において良質な入居者に選ばれる物件作りを目指しましょう。
塗装外壁【鋼製手摺・建具塗替】
手入れ・補修の目安(年):5~8
補修基準・内容
風雨の吹き付け状況、道路状況・日照状況による

塗装外壁【外壁塗替】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
吹付塗装(下地補修含む)風雨の吹き付け状況・道路状況・日照状況による

塗装外壁【外壁タイル修繕】
手入れ・補修の目安(年):12~15
補修基準・内容
点検の上、部分補修又はタイル張り替え

防水【PC外壁目地防水取替】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
ウレタン、コーキング取替のみ

防水【バルコニー床防水】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
目地塗膜防水は別途

防水【PC屋根線防水】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
床全面急硬性弾性樹脂モルタル塗

他【ノンスリップ取替】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
使用状況による

他【集合郵便受箱の取替】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
ステンレス製が望ましい

給水【FRP製水槽内面ライニング】
手入れ・補修の目安(年):15~
補修基準・内容
メンテナンス状況による

給水【給水ポンプ修理】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
機械の質、使用状況による
(予備も含む)

給水【屋内給水管取替】
手入れ・補修の目安(年):10~20
補修基準・内容
品質向上のため差がある
(地中配管及び共用管も点検)

汚水【汚水ポンプ修理】
手入れ・補修の目安(年):5~8
補修基準・内容
建物の設計状況・メンテナンス状況による

汚水【汚水処理場・機械装置修理】
手入れ・補修の目安(年):5~8
補修基準・内容
建物の設計状況・メンテナンス状況による

汚水【台所排水管取替】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
使用状況による、品質向上のため差がある

汚水【浴室・洗面所排水管取替】
手入れ・補修の目安(年):20~
補修基準・内容
使用状況による、品質向上のため差がある

ガス【屋外ガス管取替(共用)】
手入れ・補修の目安(年):20~
補修基準・内容
建物の設計状況・メンテナンス状況による

ガス【屋内ガス管取替(専用)】
手入れ・補修の目安(年):20~
補修基準・内容
建物の設計状況・メンテナンス状況による

消火警報【消火ポンプ取替】
手入れ・補修の目安(年):5~
補修基準・内容
高層の場合

消火警報【屋内消火栓、配管取替】
手入れ・補修の目安(年):30~
補修基準・内容
高層の場合

消火警報【警報設備取替】
手入れ・補修の目安(年):25~
補修基準・内容
高層の場合

屋内【照明器具(共用灯)取替】
手入れ・補修の目安(年):10~15
補修基準・内容
白熱灯、蛍光灯設備の取替・使用状況による

屋内【開閉器取替】
手入れ・補修の目安(年):25~
補修基準・内容
主開閉器、共用灯分電盤の取替・使用状況による

屋外【開閉器取替】
手入れ・補修の目安(年):15~
補修基準・内容
引込開閉器屋外灯分電盤の取替・使用状況による

屋外【照明器具(屋外灯)取替】
手入れ・補修の目安(年):10~
補修基準・内容
蛍光灯水銀灯の取替・使用状況による

屋外【制御盤取替】
手入れ・補修の目安(年):20~
補修基準・内容
給水、汚水施設の動力盤の取替・設置状況による

雨漏り・防水の賢い施工会社の選び方と注意点

建物へのタメージを最小限にとどめ、より良好な状態で建物長期保全するためには、雨漏りが始まる前に先手を打って、定期的な点検や問題箇所の補修にあたるのがベストです。しかし、残念ながら雨漏りが発生してしまった場合は、信頼できる施工会社によって可及的速やかに損害箇所のメンテナンスを行うことが、修繕費などのコストを安く抑えるための重要なポイントとなります。
□ 現場の状況をしっかり把握しているか
□ 原因究明にいたずらに時間をかけていないか
□ 出来る・出来ない、を明確に説明しているか
□ 下請け任せになっていないか
□ 見積りの内容を丁寧に説明してくれるか
□ 保証を付けてくれるか
□ 工事中・完成後のメンテナンスも誠実であるか
上記に挙げた要件は、あくまで一例ではありますが、信頼できる施工会社かを判断していただく上での一定の目安となるでしょう。大規模修繕前の事前調査などを除けば、本当は“無料”の雨漏り調査などありえません。必ずなんらかの形で人請代や調査費が発生しておりますので、無料調査にはお気を付けください(※ただし、簡単な目視調査はスタンダードに無料でやってくれるところは多数あります)。専門的な知識と豊富な施工経験が必要不可欠となる「水漏れ・雨漏り」の対策についてはどの業者も嫌がりますが、“防水”に情熱を燃やしている専門家や施工会社も多数存在します。日本防水協会には、そのような防水のプロフェッショナルが多数エントリーされておりますので、まずはお気軽に日本防水協会までお問合せください。
建物へのタメージを最小限にとどめ、より良好な状態で建物長期保全するためには、雨漏りが始まる前に先手を打って、定期的な点検や問題箇所の補修にあたるのがベストです。しかし、残念ながら雨漏りが発生してしまった場合は、信頼できる施工会社によって可及的速やかに損害箇所のメンテナンスを行うことが、修繕費などのコストを安く抑えるための重要なポイントとなります。
□ 現場の状況をしっかり把握しているか
□ 原因究明にいたずらに時間をかけていないか
□ 出来る・出来ない、を明確に説明しているか
□ 下請け任せになっていないか
□ 見積りの内容を丁寧に説明してくれるか
□ 保証を付けてくれるか
□ 工事中・完成後のメンテナンスも誠実であるか
上記に挙げた要件は、あくまで一例ではありますが、信頼できる施工会社かを判断していただく上での一定の目安となるでしょう。大規模修繕前の事前調査などを除けば、本当は“無料”の雨漏り調査などありえません。必ずなんらかの形で人請代や調査費が発生しておりますので、無料調査にはお気を付けください(※ただし、簡単な目視調査はスタンダードに無料でやってくれるところは多数あります)。専門的な知識と豊富な施工経験が必要不可欠となる「水漏れ・雨漏り」の対策についてはどの業者も嫌がりますが、“防水”に情熱を燃やしている専門家や施工会社も多数存在します。日本防水協会には、そのような防水のプロフェッショナルが多数エントリーされておりますので、まずはお気軽に日本防水協会までお問合せください。

雨漏りの原因究明に水の性質を知る

水漏れや雨漏りの原因は実にさまざまであり、それを究明し特定することは、時に専門家でも時間を要する場合があります。「屋根や壁に大きな破損箇所はないはずなのに雨漏りが発生してしまった」などの問題を体験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、一見しても分からない思いもよらぬ箇所から浸水が発生しているためで、水の持つ特有の性質がその特定をより困難にしているのです。
なお、我々にも身近な水の性質としては、コップに入れた水が溢れそうになってもなかなかこぼれないという「界面張力」や、コップにストローを差したとき水がストローの内部に自然と吸い上げられる「毛細管現象」などが広く知られています。
このような問題は、屋根だけでなく外壁のヒビ割れやコーキング(シーリング)の劣化などでも発生し、ひとたび毛細管現象により雨漏りが起きれば、前述した通り目視でそれを判断することは非常に難しい状態となってしまいます。
ここで覚えておいていただきたいのは、水は必ずしも上から下に落ちるものではなく、その性質によりさまざまな浸水口や経路をたどり、水漏れや雨漏りが発生するということ。水の性質を理解し、水漏れ・雨漏りの原因となる一因を理解することで、より正確に建物でおこりうる問題に対処でき、手入れや補修を適切に行うことができます。
水漏れや雨漏りの原因は実にさまざまであり、それを究明し特定することは、時に専門家でも時間を要する場合があります。「屋根や壁に大きな破損箇所はないはずなのに雨漏りが発生してしまった」などの問題を体験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、一見しても分からない思いもよらぬ箇所から浸水が発生しているためで、水の持つ特有の性質がその特定をより困難にしているのです。
なお、我々にも身近な水の性質としては、コップに入れた水が溢れそうになってもなかなかこぼれないという「界面張力」や、コップにストローを差したとき水がストローの内部に自然と吸い上げられる「毛細管現象」などが広く知られています。
このような問題は、屋根だけでなく外壁のヒビ割れやコーキング(シーリング)の劣化などでも発生し、ひとたび毛細管現象により雨漏りが起きれば、前述した通り目視でそれを判断することは非常に難しい状態となってしまいます。
ここで覚えておいていただきたいのは、水は必ずしも上から下に落ちるものではなく、その性質によりさまざまな浸水口や経路をたどり、水漏れや雨漏りが発生するということ。水の性質を理解し、水漏れ・雨漏りの原因となる一因を理解することで、より正確に建物でおこりうる問題に対処でき、手入れや補修を適切に行うことができます。

賃貸経営における建物長期保全に必要な メンテナンスの種類

賃貸経営において、建物を長期に渡り保全していくためには、さまざまなメンテナンス管理が必要となります。
ソフト面では、入居者の募集や管理にはじまり、家賃の集金、クレーム対応、経営分析などの諸業務。また、ハード面では、エレベーターや受水槽(注1)浄化槽(注2)といった各種設備機器の点検・保守はもちろん、日常の清掃、定期巡回、敷地内の整備など日常的なメンテナンスも欠かすことができません。これら多種多様なメンテナンス管理を、バランス良く実施していくことこそが、建物の状態を良好に維持し続け、さらには近年の賃貸経営において重要視されている「テナントリテンション」(入居者の保持)を実現するための第一歩となるのです。

そんな各種メンテナンス管理の中でも「水漏れ・雨漏り」などに備えた早期の点検・保守は、特に重要となります。なぜなら、一度でも水漏れ・雨漏りが発生すれば、皆さんの大切な建物の資産価値を大きく毀損してしまうだけでなく、入居者からの重大なクレームにもつながりかねず、健全な賃貸経営を損なう大きな一因ともなりえるからです。実際に水漏れ・雨漏りなどの問題が発生してからでは対応が遅すぎることを念頭に、まずは日常から先手を打った防水のための定期点検やメンテナンス管理を心がけましょう。
(注1)ビル・マンション・学校・病院など多量の水を使用する建物などで、水道局から供給された水をいったん貯めておく容器のこと。
(注2)水洗式便所と連結して糞尿およびそれとあわせて生活排水を処理し、終末処理下水道以外に放流するための設備のこと。

賃貸経営において、建物を長期に渡り保全していくためには、さまざまなメンテナンス管理が必要となります。
ソフト面では、入居者の募集や管理にはじまり、家賃の集金、クレーム対応、経営分析などの諸業務。また、ハード面では、エレベーターや受水槽、浄化槽といった各種設備機器の点検・保守はもちろん、日常の清掃、定期巡回、敷地内の整備など日常的なメンテナンスも欠かすことができません。これら多種多様なメンテナンス管理を、バランス良く実施していくことこそが、建物の状態を良好に維持し続け、さらには近年の賃貸経営において重要視されている「テナントリテンション」(入居者の保持)を実現するための第一歩となるのです。
そんな各種メンテナンス管理の中でも「水漏れ・雨漏り」などに備えた早期の点検・保守は、特に重要となります。なぜなら、一度でも水漏れ・雨漏りが発生すれば、皆さんの大切な建物の資産価値を大きく毀損してしまうだけでなく、入居者からの重大なクレームにもつながりかねず、健全な賃貸経営を損なう大きな一因ともなりえるからです。実際に水漏れ・雨漏りなどの問題が発生してからでは対応が遅すぎることを念頭に、まずは日常から先手を打った防水のための定期点検やメンテナンス管理を心がけましょう。